判例評釈:勾留の裁判に関する準抗告決定に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例

判例解説Watch25号に収録された、最2小決平成30年10月31日判時2406号70頁の評釈が公刊されました。いわゆる一罪一勾留原則の適用範囲にかかわるものとして、議論されてきた問題について、最高裁が判断した事例です。

もっとも、この最高裁決定は、積極的に同時処理義務や同時処理の可能性が認められる場合を説示したわけではなく、原審の考慮した要素だけで同時処理義務が存する旨の結論を導くことができない旨を説示したにとどまります。そのため、実務上の指針としての明確性を欠く判断であり、ミニマリズムの発想が色濃く表現された判断だといえるかも知れません。

なお、速報版(TKCの電子版)に比して、学説状況の記述を書き改めています。私の認識の誤りに起因するところであり、紙媒体で公刊された、今回のものの方が内容としては適切だろうと自分としては考えております。いずれ、電子版も差し替えられるものと思いますが、申し訳ございません。どうぞよろしくお願い申し上げます。