法学セミナー776号(2019年9月号)の扉頁に、エッセイ「『考える』という営みを覗いた瞬間――網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』」が掲載されました。「法学者の本棚」というリレー連載のエッセイとして、執筆を依頼されたものです。が、法学者っぽくない本を選択して良かったのかどうか。
主観的な意図としては、「暗記さえすればよい」と思われがちな社会科について、「もっと興味を掻き立てられる世界がある」という気づきを与えてくれた本だったので、紹介しました。学生さんがしばしば法学を答案の型を暗記するものとして学んでいるように見えます。しかし、法学も、やはり「もっと興味を掻き立てられる世界」があると私は思っています(だから研究職に就きました)。
学生さんにとって、学習経験があって身近であろう日本史を素材として、同じく「もっと楽しい世界がある」という気づきを与えた本やその出会いの経緯を示し、「暗記さえすればよい」という学びの世界から、別の学びの世界に歩むための後押しになれば…と思いつつ書きました。もっとも、この文字数ではそこまで伝わらないだろうなぁと自らの非力さを感じつつの脱稿でもありました。なお、網野善彦氏について、私は専門家ではないので、その見解を評価することは難しいのですが、大学生~大学院生のころの私にとっては、彼の生き方そのものも関心の対象でした(例えば、政治運動と学術との関係など)。
私はもともと、高校生の頃は、文学部に行きたかったのですが、その当時の自分の気持ちを思い出しました。
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