季刊刑事弁護107号において、特集「被告人の釈放と逃亡防止」を企画させていただきました。執筆者の方々には、法制審議会・刑事法(逃亡防止関係)部会の議論が進む中で、併行して執筆するという、難しいお願いをすることになってしまいました。半年~1年ほど先を見通して、企画を立てるのですが、執筆者の方々にはご苦労をかけさせてしまいました。
水谷論文では、議論の全体像を踏まえて、重要論点を拾い上げる形で検討していただいています。葛野論文では、保釈と電子監視について、イギリスの知見と日本の現状を踏まえて議論いただきました。原田論文では、刑の執行段階における調査権限について検討していただきました。中村論文では、逃亡防止に関する実体法の制定にかかる問題を検討していただきました。大角論文では、法と経済分析の観点から、保釈制度と刑罰による逃亡防止について検討していただきました。
なお、保釈と電子監視に関しては、季刊刑事弁護では、甘利航司「『GPS型電子監視』について考える」季刊刑事弁護105号(2021年)178頁以下が国内の議論状況を踏まえて批判的に検討し、また、緑大輔「被告人の釈放と電子監視」季刊刑事弁護104号(2020年)206頁以下はアメリカ合衆国の状況を踏まえて日本に対する示唆を得ようとする論稿を掲載しています。併せてご参照いただければ幸いです。
季刊刑事弁護107号では、特集「タトゥー事件を振り返る」の2つの座談が面白く感じました。研究者と連携して弁護活動を行う際に、どのような点を意識すべきかも含めて、勉強になるものです。
0コメント