「意識を喪失して呼気検査をできない運転者に対する無令状での血液検査を許容した事例――Mitchell v. Wisconsin, 139 S.Ct. 2525 (2019)」判例時報2438号(2020年)130頁以下が公刊されました。
飲酒運転で逮捕して警察署に連行した後、より精密な検査を実施しようと病院に移動させ、無令状で血液を採取した事例について、アメリカ合衆国連邦最高裁が、令状主義におけるいわゆる緊急事態例外に該当するとして、合衆国憲法第4修正には違反しない旨を説示しました。
ウィスコンシン州法では、自動車等の運転者について、血中アルコール濃度を測定するために、呼気、血液、尿の検査を実施することを黙示的に承諾しているものとする規定(Implied consent law)があり、被告人側も州側もその合憲性を主たる争点としてしたのですが、連邦最高裁の審理においては、口頭弁論で判事たちから緊急事態への関心が強く示されました。結果的に、相対的多数意見においては、黙示的承諾規定の合憲性ではなく、緊急事態例外に該当するか否かを判断する形で説示されることになりました。当該事案に固有の事実――緊急事態の有無にかかる事実――に即して判断する姿勢に徹し、判断した場合にはその射程が広く及ぶ可能性が高い黙示的承諾規定については、判断を回避したように思いました。
よろしくお願い申し上げます。
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