判例評釈:Carpenter v. United States

「携帯電話会社基地局に蓄積された被疑者の位置情報履歴を捜査機関が無令状で取得した行為が違憲とされた事例――Carpenter v. United States, 138 S.Ct. 2206(2018)」判時2379号128頁以下が、公刊されました。

携帯電話基地局に蓄積されていた被疑者の位置情報履歴を、捜査機関が無令状で取得する行為について、アメリカ合衆国の判例法理では、いわゆる第三者法理(Third Party Doctrine)の適用の有無が議論の対象になってきました。銀行の送金履歴や電話局の通話先履歴は、利用者が銀行や電話局とプライバシーと共有しており、銀行や電話局がこれら履歴を捜査機関に開示したとしても、それはリスクとして甘受すべきだ(プライバシーの保護の必要性は高くはない)と説明されてきました。携帯電話会社基地局に蓄積された位置情報も、これらと同じ扱いになるか否かが問題となったわけです。

アメリカの連邦最高裁の法廷意見は、携帯電話会社基地局に蓄積された位置情報は、銀行の送金履歴や電話局の通話先履歴とは異なると判断した上で、上記位置情報の取得には令状が必要だと説示しました。長文の判例なのですが、紙幅の範囲内で、判決の論理を抑えられるように心がけたつもりです。宜しくお願い申し上げます。