一橋大学刑事法部門編・葛野尋之編集代表『裁判員裁判の現在――その10年の成果と課題』(現代人文社、2021年)が刊行されました。その中の「裁判員裁判の運用状況と評価――公判中心主義の観点から」の執筆を担当しました。
はしがきでも説明されているところですが、本書は一橋大学主催の2020年度公開講座(新型コロナウイルス感染症の流行のため、2020年12月~2021年3月にかけてオンラインで動画を公開)の内容に各報告者が加筆したものが、収録されています。
公開講座では、一橋大学刑事法部門の教員5名と弁護士の贄田健二郎先生が登壇しましたが、そのメンバーが執筆しています。裁判員制度の概要・課題(葛野)、公判中心主義からみた運用状況と評価(緑)、チョコレート缶事件にみる事実認定(青木)、裁判員制度下の量刑と死刑(本庄)、裁判員裁判の下での弁護活動の変化(贄田)、中国の人民陪審制度との比較(王)、文献リスト(福部)が収録されています。
私は、公開講座の内容に、公判中心主義の意味やその歴史的な経緯を若干加筆するとともに、新型コロナウイルス感染症の流行下における裁判員裁判の運用状況について項を起こしました。後者については、以前執筆した「災害と刑事裁判」がベースになっています。歴史と現状の素描と課題を、私なりに整理して述べたにとどまりますが、ご批判いただければ幸いです。
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