その他:判例をつくる当事者、そして法曹

「判例をつくる当事者、そして法曹」法学教室 443号(2017年)2頁以下が公刊されました。同誌の「法学のアントレ」コーナーを執筆する機会を得たので、書いたものです。
大学院生のころに、故・正木ひろし弁護士の遺品が龍谷大学に寄贈される過程で、僅かばかりですがお手伝いをさせていただきました。そのときのエピソードを起点として、判例が形成されるにあたって、裁判所のみならず、検察官、被告人、弁護人らの役割も重要であることに思いを致して判例を読んでもらえれば…と思いつつ執筆しました。

上記公刊物には、紙幅の都合で省略したのですが、名古屋から札幌に転居する際に、ある弁護士の先生が、正木ひろし著作集のうち数冊をお餞別として下さいました(今回の「判例をつくる当事者、そして法曹」においても、参照・引用する機会がありました)。その後、その先生からのご依頼で、上告審に提出する意見書を書くことになりました。訴訟能力の回復見込みがない被告人の公判手続を打ち切るべきとの主張をなさっており、それをサポートするための意見書を書いたのですが、その過程で、長きにわたり弁護人として被告人のための弁護活動を継続しつづけていたことを伺いました。実務法曹のZealousnessの価値を改めて感じ、本稿執筆時にもそのことを思い出しました。同時に、「この事件は、本来はもっと早く解決することができたはずだ」という弁護人の方の言葉に、実務法曹の責任の重さをも感じました。

本稿を執筆していて、このように、個別の事件に対して情熱をもって取り組まれている法曹実務家の方々のことを思い出す機会があった次第です。

MIDORI Daisuke

研究・教育関係の事項。